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『蘆屋家の崩壊』 現在進行系の怪談

落渕です。
ようやく通常進行に、戻った気がしますよ。

そう、ご本の感想です。

蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)蘆屋家の崩壊 (集英社文庫)
(2002/03/20)
津原 泰水

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津原泰水さんの怪奇もの連作短編集です。
ダジャレですね。

元はといえば、『バレエ・メカニック』をタイトル買いしたもののなかなか進まず、電車内で読める文庫の方を先に読み終わったという始末でございます。

内容を簡単に紹介すれば、定職を持たない三十路過ぎ男、猿渡と、怪奇小説家の伯爵のコンビが日本各地の旅先で様々な怪異に遭遇する、という話になります。

が、こんな説明では本作の魅力というか何というか、は伝わりません。
まず…旅率低いです。8編中、5割くらい。

で、伯爵はそんなに活躍しません。この紹介だと伯爵が活躍してくれそうに見えますが、誤解です。伯爵が登場しないエピソードもあったりします。そもそも、誰かが活躍するような話でもないです。


読めば明らかなのですが、キーパーソンは猿渡の方です。
この作品群は、言わば、読者が猿渡という「カメラ」を通して怪異に触れる話です。
怪異がスマートに解決されることはなく、作品の終幕では、ただ「カメラ」が怪異から外れて見えなくなるだけです。結果…読者は恐怖の根源がまだどこかに残っているような不安感を味わいつつ本を閉じることになります。
まさに正しい怪談。

怪談というのは本質的にメタフィクショナルなものなのですな。
鑑賞者に「恐怖」という感情を抱かせるにはどうするか?「描写される物語世界と鑑賞者の世界をつなげてしまえ!」ということですね。

怪談は語り部の華!怪談は一人称の技!
… という感じで盛り上がれます。盛り上がってみましょう。



……と、怪談としての切り口で語ってみたのですが、8編の最後の1編、「水牛群」はまた話が別です。
端的に言えば、純文学のやり方だなぁ、と。
良い悪いの話ではないですが、文章の濃度が一段と濃くなった感があって、うーんと唸ります。
(バランス的にこれくらいの配分がちょうどいいのかもしれないですね…)


メタフィクションで思い出しました。
星新一『ご依頼の件』に入っている「結晶」という短編。
読み返してみたんですが、これはある意味二人称と言えるのかも…。
どう紹介すればいいか悩みつつ、今回は名前だけ出してフェードアウトします。


ご依頼の件 (新潮文庫)ご依頼の件 (新潮文庫)
(1989/04)
星 新一

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落渕

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