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リレー小説『新幹線と私』 第一回連載

御夜優(@miyayou)です。

先のエントリーにも部長から説明がありましたが、
本サークルでリレー小説を開始します。

トップバッターは何と僕です!
よろしくお願いします! 舞台は新幹線は福岡、博多駅から始まります!
東京駅までの奇想天外の旅を共に楽しみましょう!



 リレー小説『新幹線と私』 第一回連載

「消えるのよ、世界が」

そう少女は言った。博多駅の午前11時、東京行きホームはごったがえしていた。秋も深く、ホームは旅行客の抱えた何かの果物の甘酸っぱい香りで満ちていた。特に帰省の季節でもないが、夜までに明日の仕事に備えて上っておきたいのか、或いは、こちらに昨日までの仕事があって、すぐにでも帰りたいのか、せわしない人が行き来する中で、その少女は一人でぽつんとホームの真中に立っていた。迷子なのか、どうしたのか、心配になって僕が声をかけると、少女はそう言ったのだった。

「消えるのよ、世界が」

そういうテレビがアニメでも流行っているのだろうか。僕は、そのセリフを聞きながら、60年代のアメリカのSFでも思い出しながら、周りに少女の親がいないか探していた。しかし、それらしき人はみつからなかった。少女はまっすぐに僕をみつめていた。その瞳の真摯さにはただならぬものがあった。
「間もなく、11時7分、博多発東京行き出発します」
アナウンスが響きわたった。僕は、荷物を片手にゆっくりと新幹線の入り口に進んだ。その間もずっと少女の視線が僕の背中を刺していたのだった。ドアがしまり、列車が出発したとき、ふとドアの向こうを見ると、もう少女はいなかった。
 僕はそのままぼんやりと、消え行くホームを見ていると、不思議なことが起こった。暗いもやのようなものがホームで産まれたかと思うと、それを中心に列車の後方の空間がその暗闇に飲み込まれていった。夕闇ではない。まだ昼前だ。文字通り、世界が消えつつあった。ホームも、線路も、博多の街も、人も、暗いもやのようなものの中に溶け込んで行った。そして、その暗闇は新幹線の後を追いかけるように、ゆっくりと腕を広げて、こちらに向かって来ているのだった。これが物語の始まりだ。


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