スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『あいどる』

あいどる (角川文庫)あいどる (角川文庫)
(2000/05)
ウィリアム ギブスン

商品詳細を見る


新三部作の二作目。原題が "IDORU" ですね。

前作『ヴァーチャル・ライト』から世界観を引き継ぎ、日本を舞台に物語が展開します。今回はサイバー分が多めで、『ニューロマンサー』との似通った作りになっていますす。

・ 主人公のレイニーが、サイバー系の人。
  レイニーは、雑多な情報の集合から、情報の「結節点」を見つけ出す能力がある。

・ 表題にもなっているバーチャルアイドル「麗投影」が登場。
  意思を持ち、現実とネット上の表と裏で活動する。

と、まあこんな感じで。
ストーリーは、レイニーと、もう一人の主人公のチアとの、それぞれの事件が並列で語られる、いつものパターンで進行します。

往年のスター、レズがバーチャルアイドルの麗投影と結婚する、と言うところから物語が開始。真相を確かめようとして日本にやってきた、レズのファンであるチアは、成り行きで最新のナノテク装置の密輸に関わってしまい、その装置を持って逃亡するはめになる。麗投影は、そのナノテク装置を手に入れようと暗躍し、レズの警備担当者に雇われたレイニーがさらにそれに巻き込まれる…。

…こんなあらすじでいいのかなぁ。話だけまとめてもピンと来ませんが…例によって例のごとく、合間合間にガジェットのオンパレードとなっています。レイニーが以前勤めていた「スリット・スキャン」(マスコミ関連のでかい企業)とか、ネット上のファンサイトとかアバターとか、ネット上に再現された九龍城「城砦都市」とか。

話の方は、最終的に麗投影がナノテクなんちゃらを手に入れて、新しい何かが出来上がる、という形でオチがつきまして、この辺も『ニューロマンサー』に近い感じです。
ただし、全体的にスケールダウンしていて、より非SF的に、現実寄りになってきています。その後の作風の変遷を見るにしても、非SF的な指向は最初からあったのでしょう。段々と、宇宙だとか、軍隊だとか、そういうSF的ビッグスケールガジェットに頼らなくても話が回せるようになってきた、ということでしょうか。

まあ、スケールが小さくなった分、誰が何をやろうとしているのか、が分かりにくくなっている感がありまして…そこがいまいちブレイクしきれないところなのでしょうか。
いつものギブスン節は相変わらずで、その辺は好きなのですが、内容がちゃんと入ってくるのは2周目以降かなぁ。


で、今回読んだのは角川文庫版なのですが、解説が巽孝之のものと、東浩紀のものと2本収録されています。
巽の方は発表時と同時期の視点で絶賛しているのですが、東の方は10年後からの視点で、特にギブスンの作品の日本の「古さ」について語っていまして…この温度差がちょっとたまらないですね。
(巽の解説で伊達杏子とか出てくるし…)

さらにその文庫の発行から10年弱が経とうとしている現在では、ほとんど作中のネットの描写と同等なものが実現してしまっているわけですが。
自分としては、特にギブスンの文化論的な部分は普遍的な問題として読めると思うんですけどね。

次はフューチャーマチックか…未入手…。

----
落渕

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © クーロンパンダ All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。