スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『15×24』 1回目

明けましておめでとうございます。落渕です。
細く長く生きていきます。今年もよろしくお願いします。>皆様

さっそくですが、この年末は『15x24』一気読みをやりましたので感想などをひとつ。
多分1回では終わらない気がしているので、「1回目」と付けてみました。
(どうでもいいですが、前回の年末年始は『鋼殻のレギオス』一気読みでした。3日くらいかけて。アニメ版に泣いた)

15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-1)15×24 link one せめて明日まで、と彼女は言った (集英社スーパーダッシュ文庫 し 5-1)
(2009/09)
新城 カズマ

商品詳細を見る



あらすじ…少年少女版の『24』だそうで、一通の自殺予告メールが引金となって起きた24時間の事件と、それに関わった15人の少年たち…という感じです。

すごく面白くてページをめくる手が止まらないから6巻を2日くらいで読み切っちゃったよハハハハ、と言い切ってしまいたいのですが、それはそれ。
以下、うだうだぐだぐだとぼやいてみます。ネタバレになるかもしれんから分けますよと。


はい、続きです。

トータルの感想としては面白い、に尽きます。
構成として、15人の少年少女による一人称、視点切り替え型となっているのですが、各キャラクターの性格付けがしっかりしているし、語りもスムーズ、緩急があって「読ませて」くれます。
情報密度が濃い文章、というわけではないので読みやすいのですが、各キャラクターが都内を縦横に駆け回るので、これらの組み合わせで全体としての情報量はえらいことになっています。しかも、携帯とかネットを最大限に使用しているので、これは、プロットを煮詰める段階で相当苦労したんではないかと。

この作品のジャンルは、というとちょっと難しいです。
作中では、徳永というキャラに心中自殺を持ちかける「17」という謎の登場人物がいて、彼の正体がクライマックスまで明かされないまま進んでいきます。なので、ミステリーとかサスペンス的な要素がある、と言えばそうなのですが、読了後の印象としてはそこは一要素に過ぎないかなと。
無難に言えば「青春群像劇」なのかもしれないですが、そう無難にまとめてしまうには惜しい。24時間という時間に多層多重の物語を詰め込んだ希有な群像劇です。
(少年少女向けであることと、語り口のライトさからすれば「ライトノベル」と呼ぶことも間違ってはいまい)


印象としてはこんな感じ、ということで、後はちょっと分析的に考えてみます。


この物語の構成上の主軸になっているのは、徳永の自殺の問題です。
これは少年達が対面する重要なテーマでもあるし、徳永の自殺が阻止されたことで作品が終了した、ということで一本の確実な軸であります。

ただ、これだけでは終わらず、この軸に巻き付くように、複数の大小の物語が作中に表れます。

・ ピンクのケータイにまつわる物語。子供の人身売買事件、大人の社会の裏表。
・ ↑に関連した、自警団組織の対立の物語。
・ 各キャラクター(特に15人の少年少女)個々の物語。
  ・ 子供と大人の対立。
  ・ 家族の物語。
  ・ いじめの問題。
・ 東京という土地の物語。土地の神話、噂話。

乱暴ですが、ざっと挙げてこんな感じです。

それぞれの物語を各所各所で、キャラクターの語りに載せた上で踏み込んで描いてみせるところには脱帽です。が、とにかく、あれよあれよと言う間に話が広がっていくので、時々振り落とされそうになるきらいはあります。
特に、逃げ回る役の徳永は、怪しい食べ物を食べて意識朦朧としたまま放浪するとか、冷静に考えるとちょっと無理がある形で物語を展開させます(狂言回し的に)。
ここに至っては、リアリティ云々を言うのは野暮で、この作中の、大晦日?新年の24時間が一種の異界であると考えたくなってきます。
というか、作中でも異界的な描写が結構出てきますし。

この徳永が放浪しながら出会うのが、東京の土地の物語です。怪しい老人に出会うとか、怪しい教授に出会うとかして、土地の神話的な話に出会います。東京を舞台にする以上、触れてはおきたいディティールだし、筆者の引き出しにもあったわけでしょう。
ただ、ちょっと残念なのは、徳永にとっての異界の入り口と出口は何だったのか、というところがしっくり来なかったことですね。友だちに捕まって、自殺止められたらそれでお前は終わりなのか、というか。そこが徳永自身の問題として描かれなかったのが消化不良でした。話自体はオチてはいるのですが。

まあそんな感じで、端的に言うと、エヴァを見終わった後みたいな読後感、ですかねぇ。
ボリュームがあって、展開・構成・演出が見事で、各ディティールに深さと広がりがあって文句なしに面白いのですが、芯の部分が掴み切れない、っていうか。

対極にあるのが、『とある飛行士の追憶』かなと思います。
こっちは、「無駄なものがない」という意味での「完璧さ」がある作品ですね。



…と、まあ、面白かったんだけど消化不良感が残っている胸の内を吐き出してみました。
割とハイテンションの状態で読み切っているので怪しい箇所もありますが。
もう一回評を書けるかどうか…どうかなぁ。

----
落渕

コメント

 

コメント

 
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © クーロンパンダ All Rights Reserved.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。