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ワイルド・カード

はじめまして and/or こんにちは、ラナクターと言います。
別の場所でちょっとだけブログを書いていましたが、このたびはこちらにお邪魔させて頂く事になりました。

今回ご紹介する小説は・・・

創元SF文庫「ワイルド・カード」シリーズ

これは長編ではなく複数作家による連作ですが、実に面白い! ・・・にも関わらず6冊目まで出たところで日本での出版は打ち切りになってしまいました(翻訳の中心となっていた黒丸尚氏が逝去されたためと聞いています)。内容はと言いますと、「アメコミのヒーローものを真面目に(そして暗く)小説化」といったところでしょうか。アメコミといってもスーパーマンの方ではなく、Xメンでおなじみのマーヴェルコミックスを意識した設定になっています。

異星人の生物兵器であるワイルドカード・ウイルスによって世界中で無数の人々が死亡(ブラック・クイーン)し、また少なからぬ数の人々がミュータント(ジョーカー)と化してしまいます。しかし、ごく一部の極めて幸運な人々は、超能力を得てエースと呼ばれる存在となります。「ワイルドカード」はそんなヒーローたちの悪との戦いを描いた大冒険活劇・・・ではなく、ワイルドカードによって変質してしまった世界に生きる人々の生きざまを描く群像劇です。ミュータントとなってしまった人々=ジョーカーに対する社会的偏見、超人的な力を持つエースに対する一般人の羨望・落胆・恐怖などなど、「もしも」の世界の社会や、人や、政治の動きをリアルに描いた傑作です。勿論、エースの冒険活劇を描いた話もありますが、このシリーズの魅力はリアルに描かれた人々の織り成す群像劇に集約されます。

ちょっと登場人物の一部を(ネタバレありになってしまいますが)紹介しましょう。

・ドクタータキオン ワイルドカードウイルスを作り出したタキス人の貴公子で、同胞が生体実験としてウイルスを地球にばらまこうとするのに反対し、阻止するために地球にやってきます。これに失敗した彼は人間に混じってワイルドカードの被害者の治療にあたります。ジョーカーの希望の星とみなされるタキオンですが、実際には弱虫で、優柔不断で、心の底にジョーカーへの嫌悪感を隠しています。

・ゴールデンボーイ ワイルドカードによってスーパーヒーローとなった彼は、他に3名のエースやタキオンと共に「フォー・エースィズ」というチームを構成して正義のために活躍します。が・・・、「エース狩り」として知られることになる政治的謀略の犠牲となった彼は結果として他のエースを裏切り、「エースのユダ」として名を残すこととなります。これによって愛する人を失ったタキオンは、ゴールデンボーイを憎悪しています。

・フォーチュネイト 日本人と黒人のハーフで、ゲイシャと称して娼婦を教育するポン引きでしたが、ひょんなことで潜伏状態にあったワイルドカードウイルスが活性化して地球有数の強力なエースとなり、なりゆきだけで世界を救うことになります。タキオンを軽蔑しています。

・パペットマン ジョーカー差別と戦う高潔な政治家というのは表の顔、実際には他人の心を支配する力を持った邪悪なエースで、その能力を使っていずれはアメリカ大統領に登りつめようとしています。タキオンすらその正体を知らず、パペットマンを親友だと思っています。

このシリーズの面白さが頂点に達するのは日本では未訳の第六巻「Ace in the Hole」(日本で刊行された六冊は原書の三冊目までに当たります)で、遂に大統領選に出馬するパペットマンと、彼を取り巻く多数のエースやジョーカーの織り成す複雑な人間模様は圧巻の一言です。英語に自信のある方は原書にチャレンジしてみては如何でしょうか。

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