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『黄昏世界の絶対逃走』 色彩のある小説

落渕です。おつかれちゃーん。

ご感想。


黄昏世界の絶対逃走 (ガガガ文庫)黄昏世界の絶対逃走 (ガガガ文庫)
(2010/05/18)
本岡 冬成

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今年の5月に出た奴ですが…ついこないだ読み終わりました。…5月だったことに今更驚愕しましたが。

ライトだけど、ロードムービー的な内容。タイトル通り「逃走」です。
評価を先に出しとくと、ここ最近で一番面白かったです。『とある飛行士の追憶』に似てるかもですね。1巻で綺麗にまとまっていてちょっと哀しいところがあるって。

舞台は、「黄昏」なるものに覆われた世界。心が弱ると黄昏に支配されて自殺してしまう、という設定です。…まぁ、これだけ聞くと中二病っぽいというか、「いかにも」な感があって警戒されてしまうかもしれないですが、作中ではそれほどしつこくはなくて、むしろ「黄昏色の空」として色で表現されることが多いです。

その黄昏を浄化する存在が「黄昏の君」という謎の存在なんですが、本作は、主人公の何でも屋、カラスが、黄昏の君であるメアリを奪取して依頼主の元に送り届ける、というあらすじ。ちょっとネタバレですが…依頼主の元に送り届けた後、色々あってさらに二人の逃走劇が続きます。逃走は次第に悲劇的な様相を帯びていきますが、結末は…といったところ。

いざ振り返ってみれば、なんともシンプルなストーリーなのですが、各要素が絶妙に組み合わさって終盤のドライブ感は素晴らしいものになります。皮肉屋のカラスと、不思議ちゃんだけど時々鋭いことを言うメアリ、という組み合わせはよく合います。特にメアリがいいです。ただ無表情とかではなくて、旅の始めの記憶がない状態から、旅を続けることで段々と人間らしさや意志を身につけていきます。で、根底にある芯の強さが段々と明らかになっていく、という感じです。終盤の絶望的な状況で、カラスが黄昏に侵されそうな状況にあっても変わらない強さを持ち続ける在り方は、まー、すごいです。p286のカラスとメアリのやり取りが本当に大好きなんですが、これはさすがに転載できないんで自重…。

で、題につけた色彩云々の話。本作の象徴的な色は、まず、"黄昏色"≒"茜色"。青空の"青"、これはメアリの瞳の色でもあります。カラスの"黒"。あとはメアリの髪の色ですが、基本は"金"髪なのですが、「茜色の光を受け、金と赤が混ざった色」、「光があたっていない部分を見てみれば、白と金の中間の色」と描写されています。
当然ながら、黄昏のある世界は茜色、黄昏のない世界(黄昏の君のいる都市)は青、が象徴色になるわけです。が、終盤の方の逃走劇では、二人は、海を目指していまして、その海がこんな感じで描写されます。


あのとき、たどり着いたのは……。
赤い海。赤い魚。赤い港。赤い船。
そうだ、海ははじめてではない。
何もかもが赤く染まって、綺麗だった。きらきらと白く輝くはずの波頭さえ赤く、空を飛ぶ、黒いはずの鴉でさえ血の色に染まっていた。



と、まあ、不吉といえば不吉なのですが…。でも、黄昏色を美しい、と描写するようなところもありまして、かなり込み入った描かれ方になってたりもします。

そんな情緒感を積み上げて積み上げて、ラストの方ではグググと物語が進行するわけでして。文章として描かれた風景を映像で見てみたい、という気もしますし、文章ならではの味をもう一度丁寧に味わってみたい、という気もしてくるわけです。

そんな中でメアリの青!

まぁすげーや。


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落渕

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